2022年7月26日 東京
国連大学の次期学長にヨハネスブルグ大学副学長兼第一校長である南アフリカのチリツィ・マルワラ教授が任命されました。
マルワラ教授は現学長のデイビッド・マローン博士(2013-2023年)の後任として、2023年3月1日に学長に就任し、5年間の任期を開始する予定です。在任中は国連事務次長の役職に就き、東京にある国連大学本部を拠点とします。
7月25日にアントニオ・グテーレス国連事務総長により任命が発表されました。国連大学学長の選出と任命は、国際連合大学憲章に従い、国連大学理事会が推薦する複数の候補者から、国連事務総長が国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長と協議して決定します。
国連事務総長は任命について次のように述べました。「チリツィ・マルワラと協力していくことを楽しみにしています。Our Common Agenda(私たちの共通の課題)の達成に向けて我々が尽力する中で、同氏の知見に頼り、また、知識リーダーとしての国連大学の活動に助けられることでしょう。前任となるデイビッド・マローンの活躍が土台となりますが、マローン氏の指導のもと、国連大学は政策に焦点を当てた国連のシンクタンクとして、国連機関や国連加盟国など多方面から信頼を得るようになりました。」
マルワラ教授は2018年より、5万人以上の学生と6000人近くの教職員やスタッフを抱えるヨハネスブルグ大学(南アフリカ)において、副学長兼第一校長を務めてきました。マルワラ教授は、同大学で過去に研究・国際化担当副学長補佐(2013-2017年)と工学・構築環境学部長(2009-2013年)を務めました。
マルワラ教授はウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)で准教授、後に教授を務め(2003-2008年)、サウス・アフリカン・ブルワリーズ社技術ディレクター補佐(2001-2003年)やインペリアルカレッジ(英国)博士研究員などを務めました(2000-2001年)。
マルワラ教授はこれまでに20冊以上もの書籍を著し、直近では「Leadership Lessons from Books I Read(本が教えてくれたリーダーシップの教訓)」(2021年)や「Closing the Gap: The Fourth Industrial Revolution in Africa(差を縮める:アフリカにおける第4次産業革命)」(2020年)を出版しています。また、何十件もの書籍へのチャプター寄稿や、ジャーナル論文、会議論文の執筆を行なってきました。さらに、人工知能(AI)やビッグデータ、第4次産業革命のテーマで200件以上もの雑誌記事や新聞寄稿を提供してきました。
マルワラ教授はケンブリッジ大学(英国)で工学の博士号を取得し、プレトリア大学(南アフリカ)とケース・ウェスタン・リザーブ大学(米国)でそれぞれ工学修士号、理学士号を取得しました。
国連大学理事会を代表し、理事会議長のフンミ・オロニサキン教授は、「マルワラ教授の任命を歓迎し、多様な主体を糾合するという国連大学の重要な任務を達成し、グローバル・サウスとグローバル・ノースの研究や政策決定コミュニティの距離を縮めるために協力していきたい」と述べました。
東京に本部を置く国連大学は、世界的な研究・教育機関として1975年に設立され、現在、世界12カ国に研究機関を有します。国連大学の最大の目標は、現在と未来の世代が平和で自由、安全かつ健康で満足できる生活を営むことを可能にするため、世界の持続可能な開発に貢献することにあります。
国連システムの学術機関としてその任務を実行するにあたり、国連大学は、研究、教育、能力開発のほか、シンクタンクとして科学的根拠に基づく提言を行うことに重点を置きます。国連大学は他の国連システムの機関(機関、プログラム、委員会、基金、国際条約事務局)と緊密な協力関係を維持し、また、世界中の主要な大学、研究機関及び公的機関と公式や非公式のパートナーシップを結んで協働しています。
国連大学のデイビッド・マローン現学長は後任の任命を歓迎し、次のとおり述べました。「とても著名なグローバル・サウスの学者が次期学長に選ばれ、大変うれしく思います。国連大学のミッション、研究及び素晴らしいチーム、そしてもちろん2023年3月1日に国連大学に着任する次期学長を支えられるよう、生産的で秩序ある引き継ぎを行って参ります。」
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チリツィ・マルワラ教授は2023年3月1日に国連大学の第7代目学長に就任します。在任中は国連事務次長の役職に就きます。
マルワラ教授は2018年1月より、ヨハネスブルグ大学(南アフリカ)において、副学長兼第一校長を務めてきました。彼の指導のもと、アフリカ諸国による持続可能な開発目標(SDGs)達成を支援するためのソリューションを活用すべく、同大学は第4次産業革命における立ち位置を確立しました。マルワラ教授は過去にヨハネスブルグ大学の研究・国際化担当副学長補佐(2013-2017年)と工学・構築環境学部長(2009-2013年)を務めました。
2003年から2008年にかけ、ウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)で准教授、後に教授を務めました。同時期に、カールアンドエミリーフックス財団のシステム・制御工学チェアや、南アフリカ・リサーチ・チェア・イニシアチブ(SARChI)のシステム工学チェアに在任しました。2001年から2003年にかけて、サウス・アフリカン・ブルワリーズ社で技術ディレクター補佐を務め、2000年から2001年まで、インペリアルカレッジ(英国、当時はロンドン大学の一部)で博士研究員を務めました。
また、ハーバード大学(米国)やカリフォルニア大学バークレー校(米国)、ケンブリッジ大学ウルフソン・カレッジ(英国)、南京工業大学(中国)、中南大学(中国)、ステレンボッシュ高等研究所(南アフリカ)で客員研究員や客員教授を務めました。
マルワラ教授は学術や政策分野でのキャリアが長く、これまでに数々の管理職をこなし、豊富な国際経験も有します。教授が従事してきた研究は学際的な内容であり、AIの理論や、工学、社会科学、経済、政治、金融そして医療へのAIの応用が含まれます。マルワラ教授は登録を受けたプロフェッショナルエンジニア(PE)であり、5つの特許を取得しています。
2000年にケンブリッジ大学(英国)でAIと工学の分野で博士号を取得し、1997年にプレトリア大(南アフリカ)で機械工学の修士号を取得、1995年にケース・ウェスタン・リザーブ大学(米国)で機械工学の理学士号を取得しました。また、コロンビア・ビジネススクールのアドバンスド・マネジメント・プログラム(AMP)や、ハーバード・ビジネススクールのリーダーシップ開発プログラムを修了しています。
マルワラ教授はアメリカ芸術科学アカデミーに所属しているほか、世界科学アカデミー(TWAS)、南アフリカ科学アカデミー、アフリカ科学アカデミー、南アフリカ工学アカデミーなどにフェローとして所属し、電気電子学会(IEEE)のシニアフェローや計算機協会(ACM)の特別会員を務めています。また、第4次産業革命に関する南アフリカ大統領諮問委員会など、さまざまな世界レベルや国家レベルの政策団体に参加してきました。マルワラ教授はまた、ユネスコ、ユニセフ、WHOやWIPOなどの機関を通じ、国連と協力してきました。
マルワラ教授はこれまでに20冊以上もの書籍を著し、直近では「Leadership Lessons from Books I Read(本が教えてくれたリーダーシップの教訓)」(2021年)や「Closing the Gap: The Fourth Industrial Revolution in Africa(差を縮める:アフリカにおける第4次産業革命)」(2020年)を出版しました。また、何十件もの書籍へのチャプター寄稿や、ジャーナル論文、会議論文の執筆を行い、200件以上もの雑誌記事や新聞寄稿を提供してきました。
マルワラ教授は数々の受賞経験があり、南アフリカの最高栄誉であるマプングブエ勲章を授与されたほか、南アフリカ科学アカデミーの「社会のための科学(Science -for-Society)」金賞を受賞し、南アフリカ情報技術専門家協会(IITPSA)によって2021年のITパーソナリティー・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。