フランスで初となる国連大学ハブを開設

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  • 2025年3月25日     パリ

    Photo: © Clara Lamoure / Learning Planet Institute

    3月25日、国連大学とラーニング・プラネット研究所(Learning Planet Institute)は、「若者の学習の未来(Future of Learning with Youth)」に関する新たなハブを開設しました。新設された国連大学ハブは、変革的な学習体験を作ることに重点を置き、ユースが世界の平和と持続可能性を形作るために必要な力とインスピレーションを与えます。

    2024年9月に開催された国連未来サミットにおいて、国連加盟国は「将来世代に関する宣言」を採択し、国内および国際的な意思決定プロセスにおいて若者の声を考慮する必要性を認めました。宣言ではさまざまな公約が掲げられている他、すべての人のための教育に投資することや、未来のグローバル課題によりよく備え、対応するために能力を構築することを呼びかけています。

    しかし、これらの公約を果たすためには、現在の若者に対する教育システムを、未来の複雑な課題に立ち向かうために改革しなければなりません。相互に関連する問題に対して、平和的で包摂的な解決策を協働して作り上げられるようになるには、若い学習者たちは、共同的な問題解決方法や批判的思考力、サステイナビリティー学を融合させた教育プログラムにアクセスできなければなりません。

    2023年12月、国連大学とラーニング・プラネット研究所は、フランスや世界における持続可能な開発の課題に対応することを目的として、研究プログラムの構築や発展、教育へのアクセス改善のための了解覚書(MOU)に署名しました。署名から一年を経て、持続可能性に関するグローバル課題に立ち向かおうとする学生たちに力を与えるための取り組みにおいて、国連大学とラーニング・プラネット研究所は協力の向上と強化を切望し、「若者の学習の未来に関する国連大学ハブ」を設立することとした。新たな国連大学ハブでは、若者や加盟国、国家・国際機関の橋渡しを目的とした研究や教育、政策プログラムを開発する予定です。

    ラーニング・プラネット研究所に設立されたこの国連大学ハブは、ドイツのドレスデンにある国連大学物質フラックス統合管理研究所(UNU-FLORES)と緊密に協力します。

    UNU-FLORESは、科学者、実務家、政策決定者の間で「リソースネクサス」思考、すなわち多角的・学際的な資源管理のアプローチを推進し、強靭性や平和、安全保障、持続可能な開発の問題に対するその利点についての認識を高めています。UNU-FLORESは、リソースネクサスのための知識アカデミー(Knowledge Academy for the Resource Nexus)を設立し、eラーニングから大学院プログラム、能力開発に向けたワークショップまで、幅広い教育を通じて次世代に働きかけ、政策と実践の双方から影響を与えています。

    これに関連し、新たな国連大学ハブは、3つの柱に重点を置きます:

    • 研究、開発、イノベーション
    • 教育、研修、能力開発
    • アウトリーチやアドボカシー活動、影響拡大

    学習体験を向上させる人工知能(AI)の可能性が急速に高まっていることを踏まえると、こうした技術は人間中心のアプローチを補完し、また支援するものでなければなりません。重要なのは、AIの能力を活用して効果的な教育方法を拡大し、パーソナライズされた学習体験を提供し、知識の共有を促進すと同時に、人間の指導者と学習者が教育プロセスの中心であり続けるようにすることです。

    このビジョンを実現するため、国連大学ハブは協働的な取り組みを通じ、以下を目指します:

    • 若者の参加と世代間共同デザインの強化:若者による有意義な意思決定への参加と世代を超えた協力を促進するための革新的な方法を開発する。
    • 拡大可能な人間中心の学習の推進:AIとデジタルプラットフォームを活用し、学際的な学習と社会的情操の発達に重点を置きながら、教育学的アプローチを拡大する。
    • 世界規模のパートナーシップと問題解決能力の育成:教育機関と国際機関と若者を繋いで、グローバルな持続可能性の課題に取り組み、包摂的で利用しやすい学習機会を促進する。

    ラーニング・プラネット研究所創設者のフランソワ・タッデイ氏(左)と国連大学のチリツィ・マルワラ学長(右)(2025年3月25日、若者の学習の未来に関するハブ設立にて)。Photo: © Clara Lamoure / Learning Planet Institute

    ハブの発足に際し、チリツィ・マルワラ国連大学学長は、次のように述べました。「今日の若者は明日のリーダーです。国連大学がラーニング・プラネット研究所と共に、若者と協力して学習や問題解決の方法を共創し、すべての人のための持続可能な未来を確保していけることを嬉しく思います。研究と教育の世界的な中心地であるパリに位置し、優れた研究者と学生を擁するラーニング・プラネット研究所ほど、この重要な問題に着手するのに最適なパートナーはいないでしょう」

    UNU-FLORESの所長であるエーデルトラウト・ギュンター教授は、次のように述べました。「私たちの協力を通じて、資源の統合的管理における次世代の力を高め、より持続可能な未来への道を開くことを目指します」

    ラーニング・プラネット研究所の創設者であり学長のフランソワ・タッデイ氏は次のように述べました。「若者の学習の未来に特化したこの新しい国連大学ハブは、世界における平和と持続可能性の達成に必要な体系的転換のきっかけとして学習体験を変革するための素晴らしい世界的な取り組みです。このハブは、若い学習者に、我々が直面する複雑な課題に立ち向かい、自分自身と他者、そして地球を大切にできる地球市民になるための力を与えるものです」

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    国連大学について

    国連大学はグローバルなシンクタンクおよび大学院の教育機関であり、人類の生存、開発、福祉など国連とその人民および加盟国が関心を寄せる緊急性の高い地球規模課題の解決に取り組むため、共同研究や教育を通じて寄与することを付託されています。13の研究・研修所からなるグローバルなシステムとして構成され、日本の東京にある国連大学本部が調整役を担います。

    ラーニング・プラネット研究所(Learning Planet Institute)について

    ラーニング・プラネット研究所は2006年以来、私たちが直面している複雑な課題に立ち向かうための持続可能かつ包括的な学習社会を構築するため、集合知を通じてあらゆる年齢層の学習(生涯学習)を再発明することを目的としてきました。本研究所の使命は、若者と地球のニーズに応えるために新しい学習と協力の方法を探求、実験および共有することにあります。また、自分自身、他者および地球を大切にする「ラーニング・プラネティズン(Learning Planetizens)」を支援し、コミュニティを導いていくことも目標としています。本研究所はこの目標を達成するために、研究開発、教育、国際提携、組織の変革およびデジタル・エコシステムなどに関する学際性、多様性、自発性に基づいた研究、教育プログラムを構築しています。

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    メディアの皆様へ

    本件訪問に関する詳細や取材のご依頼は下記までご連絡ください:

    Learning Planet Institute Isabelle Merny isabelle.merny@learningplanetinstitute.org

    国連大学広報部 広報部長 Kyra Bowman bowman@unu.edu

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