新型コロナウイルスで家電製品の売上が落ち込む中、ノートパソコンや携帯電話は2020年も堅調を維持

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  • 2021年6月10日     ボン

    国連が6月9日に発表した新たな報告書によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響により、2020年の電気電子機器の売上は第3四半期までに、低・中所得国で30%減少したのに対し、高所得国ではその減少幅が5%にとどまり、先進国と開発途上国との間でデジタル格差が拡大している様子が明らかになりました。

    世界的に、2020年の第1から第3四半期の間に販売された家電製品などは、何も対策をせず現状を維持した場合(BAU: business as usual)と比べて490万メートルトン(Mt)減少し、重量ベースでは約6.4%減となりました。つまり、将来的に発生する電気電子機器廃棄物(e-waste、バッテリーまたはプラグを搭載した廃棄物)も490万Mt減少するという見通しです。

    冷蔵庫や洗濯機、電子レンジといった重電機器の売上が6~8%減で最大の減少幅となった一方で、ノートパソコンや携帯電話、ゲーム機の売上は全体的なトレンドに抗し、わずか1.4%減にとどまっています。

    2020年第1~3四半期の新型コロナウイルスによるE-wasteへの影響(Impact of the COVID-19 Pandemic on E-waste in the First Three Quarters of 2020)』は、ドイツのボンに拠点を置く国連大学サステイナブル・サイクル(SCYCLE)プログラムと国連訓練調査研究所(UNITAR)が共同で発表したものです。

    国連大学のシニア・プログラム・オフィサーであり、本報告書の共著者であるキース・バルデ氏は、今回の調査結果が当初の予想に反していると指摘しています。

    多くの専門家は、COVID-19によるロックダウン(都市封鎖)を機に、在宅勤務・学習、オンラインの付き合いやショッピング、動画のストリーミングなどが活発化したことで、電気電子機器消費の大幅な拡大と、人々が大掃除や壊れかけの家電機器の買い替えに動くことによるe-wasteの増大を見込んでいました。

    しかし、世界的に見て、スクリーンやモニター、大型家電機器、エアコンなどの温度交換機器、小型家電機器、照明器具など、主要な電気電子機器の売上は軒並み減少しました。重量ベースで見た場合、消費の落ち込みが最も激しかったのは大型家電機器で、1.7Mtの減少を記録しており、これに小型家電機器と照明器具が続いています。

    逆に、高所得国では、ゲーム機や携帯電話、電子レンジ、ノートパソコンの消費がCOVID-19によって増大しており、これが電気電子機器の消費、よって将来的なe-waste発生量を0.3Mt押し上げています。低・中所得国では、これら小型通信機器などの売上も減少しています。

    最も大きな影響は、2020年の第1・第2四半期に現れています。第3四半期には、高所得国で消費が回復する一方で、低・中所得国の消費は低迷したままとなっています。

    国連大学のe-waste専門家であるルーディガー・キュール氏は次のように述べています。

    「いわゆるデジタル格差が拡大しているということです。一部の地域では、デジタル化に適応し、生計を立てたり、単に電子機器を所有し、その恩恵を受けたりする能力も低下しています。また、Covid-19により、高所得国でも多くの貧しい人々が取り残され、デジタル格差が拡大していることが明らかになりました」

    電気電子機器の地域別消費状況

    東・東南アジア

    分析用のデータが揃っている5カ国と香港(中国、香港特別行政区、日本、モルディブ、インド、パキスタン)では、消費が2018年から2019年第3四半期にかけ、緩やかな増減を伴いながら増大傾向を示していました。以後、消費は2019年第4四半期から2020年第2四半期まで減少した後、2020年第3四半期には再び増大に転じています。

    中央アジア

    分析用データが揃っているのは、キルギス1カ国のみであり、これによると、2018年から2019年にかけ、消費は増減を伴いながらも増大傾向を示していたものの、その後は2020年第1四半期から第3四半期にかけ、減少を見せています。2020年第3四半期では、第2四半期を上回ったものの、COVID-19以前の水準には戻っていません。

    北アフリカ・西アジア

    分析用のデータがすべて揃っている4カ国(アルメニア、イスラエル、エジプト、アゼルバイジャン)では、2018年から2019年にかけて、若干の変動を伴いつつ、消費の増大傾向が見られていました。2020年の第1から第3四半期では、消費は前期比と前年同期比でともに減少しています。

    サハラ以南アフリカ

    分析用のデータがすべて揃っている3カ国(南アフリカ、モーリシャス、ザンビア)では、2018年から2019年にかけ、変動を伴いながらも消費の増大傾向が見られました。2020年は第3四半期まで、いずれも消費は減少していますが、特に第2四半期の消費は、およそ40%落ち込んでいます。2020年第3四半期には、前期比で消費が増えたものの、COVID-19以前の水準には戻っていません。

    欧州・北米

    この2地域はデータが最も充実しており、EU加盟27カ国中の22カ国に加え、スイス、セルビア、ノルウェー、カナダ、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、英国、米国、ベラルーシおよびアイスランドが分析の対象となりました。データによると、消費は2018年から2019年にかけ、緩やかな変動を伴いつつ増大傾向を示していましたが、2020年の第1・第2四半期には減少に転じました。2020年第3四半期には、消費が増加に転じ、第2四半期だけでなく、2019年第3四半期の水準も上回りました。しかし、2020年の第3四半期までの消費は全体として、COVID-19以前の水準にまでは戻っていません。

    オーストラリア・ニュージーランド

    2018年から2019年にかけ、消費は変動し、第4四半期にそれぞれピークに達したものの、前年比で微減となり、2020年第1・第2四半期も前年比で減少しています。2020年第3四半期の消費は、第2四半期を大幅に上回りました。全体として、第3四半期の増大幅はBAUシナリオに対する減少幅を上回ったため、2020年第1から第3四半期の消費は、2018年の水準に戻っています。

    ラテンアメリカ・カリブ

    ベリーズ、エルサルバドル、メキシコ、アンティグア・バーブーダの4カ国のデータが分析対象となりました。これを見ると、消費は2018年から2019年にかけて変動した後、2020年第1・第2四半期は過去2年と比較すると、減少しました。2020年第3四半期の消費は第2四半期を上回りましたが、COVID-19以前の水準には戻っていません。

    COVID-19がe-wasteに及ぼす影響は、2018年1月から2020年10月の間で計50カ国における全e-wasteカテゴリーを代表するサンプルに関する月次貿易統計により推計しました。この推計結果を用いて全ての電気電子機器の消費を推定したうえで、これを2018年から2019年にかけての月次データに基づくBAUシナリオと比較し、季節変動について修正を行っています。

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    ルーディガー・キュール:+49-151-15540282, ruediger.kuehr@unitar.org

    日本語:
    国連大学 広報部 mediarelations@unu.edu

    報告書全文はこちらからご覧ください。