EQUALS研究グループが報告書を発表:デジタルのアクセス、スキル、リーダーシップにおけるジェンダー平等

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  • 2019年3月15日     ニューヨーク

    EQUALS研究グループが報告書を発表:根強く残るデジタル格差と、ICTのアクセス、スキル、リーダーシップにおけるジェンダー不平等の複雑性を明らかに

    EQUALSパートナーシップは、報告書『現状の把握:デジタルのアクセス、スキル、リーダーシップにおけるジェンダー不平等に関するデータとエビデンスTaking Stock: Data and Evidence on Gender Equality in Digital Access, Skills, and Leadership』を発表しました。女性は大人も子どもも、デジタル分野で依然として男性に大きな後れを取っています。本報告書は、デジタル技術の諸側面で根強く残る格差にどのような意味合いがあるかを明らかにしています。また、報告書で取り上げられた25人を超える専門家と研究者によるケーススタディは、雇用と賃金、安全とプライバシー、サイバー脅威、人工知能(AI)をはじめとする最新技術など、さまざまな文脈で女性と女児がテクノロジーにどのような影響を受けているのかをまとめています。

    研究結果より、デジタル技術の発展はジェンダーの多様性と包摂への新たな道を切り開く一方で、ジェンダーの力学と相違に対する配慮不足により、実質的な前進の可能性が損なわれていると分かります。情報通信技術(ICT)業界内のガラスの天井を破ることを含め、女性と女児がデジタル経済に意味のある形でアクセス、参加できるよう、オフラインとオンラインの障壁を克服することは、引き続き大きな懸案事項となっています。ICTがますます大きな役割を果たす知識ベースの社会へ女性と女児の参加を増やすためには、すべてのステークホルダーが、意識的かつ協調的に制度的な障壁を無くすことに取り組む必要があります。生まれつつあるAI業界ではすでに、ほとんど男性によって設計されたシステムやプロセスが、そのデザインのジェンダー的悪影響を無視するという問題が生じています。

    報告書で提示されたテクノロジーへの基本的かつ有意義なアクセスに関する分析は、各国の全般的なICTへのアクセス水準、経済実績、所得水準、地理的な位置に関係なく、ジェンダーのデジタル格差が存続していると明らかにしています。科学・技術・工学・数学(STEM)教育は、高度なスキルとテクノロジー業界でのキャリア形成の基礎を提供できますが、女子中高生はSTEM教科に対する自信も関心も低く、STEM関連のキャリアも望まない傾向にあります。これまでに前進は見られるものの、テクノロジー部門における女性のリーダーシップと代表権は、ICT関連の雇用、起業、政策立案のどの次元を取っても依然として低くなっています。

    報告書は、女性のアクセスと参加が増大しても、否定的な態度を可能にしたり、容認したりする社会的・制度的文化の変革が包摂に伴わなければ、苦痛となる経験が増えるだけであると指摘しています。この意味で、デジタル面のジェンダー平等推進は、ICTにアクセスし、有意義な形で活用し、デジタル・スキルを身に着け、デジタル経済に参加するためのツールや手段、能力を女性へ提供することに止まりません。報告書で示されたように、すべてのステークホルダーを巻き込んだ多面的かつ全体論的なアプローチを採用すれば、この問題に取り組むための具体的な戦略を策定できます。

    国連大学の学長を務めるデイビッド・マローン国連事務次長は、「グローバル経済の将来の健全性は、女性と女児のエンパワーメントにかかっています。この報告書は、ICTのアクセス、スキル、リーダーシップにおける既存のジェンダー格差の深さと広さを明らかにしています。その調査結果は、国連や関連するNGO、現場の民間企業にも受け入れられ、格差縮小に向けた強力なエビデンス・ベースの戦略を構築するために必要な基盤となっています。これが実現すれば、ともに2019年の国連の優先課題となっている普遍的なジェンダー平等とグローバル経済の健全性の向上に役立つでしょう」と語っています。

    EQUALSの活動は「誰ひとり取り残さない」という「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の主要概念に合致しています。これは、急速な技術変革が進む時代の女性と女児にとって、特に意味があります。報告書は、女性のICTアクセス、スキル、そしてリーダーシップへの参加の現状を正確に把握するため、より正式、比較可能、信頼性のあるジェンダー別データと、より良い測定ツールの必要性を強調しています。研究や政府の政策、設計原理には、目に見えないジェンダー関連の側面的な問題(電話の所有、電話を自由に使用できるなど)に配慮したり、ジェンダーをめぐる固定観念の回避により、ジェンダーの認識と分析を盛り込むべきです。

    報告書は、https://www.equals.org/researchからご覧いただけます。

    Twitterアカウント、 @EQUALS@UNU_CS もフォローして頂けます。
    ハッシュタグは、 #EQUALSinTechをご活用ください。

     

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    EQUALSパートナーシップと研究グループについて

    EQUALSは、全世界の企業リーダー、政府、非政府組織、コミュニティ、そして個人が連携し、ジェンダーのデジタル格差に取り組むグローバルなパートナーシップです。EQUALSは2016年、国際電気通信連合(ITU)、UN Women、国際貿易センター、移動体通信事業者団体のGSMA、国連大学(UNU)という5つのパートナーにより設立されました。EQUALSパートナーシップは、2030年までにジェンダーのデジタル格差の拡大を逆転、縮小することを目的としています。また、情報通信技術の利用を通じて女性のエンパワーメントを確保し、持続可能な開発目標(SDGs)の目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の達成も支援します。

    3つのEQUALS連合(アクセス、スキル、リーダーシップ)の活動を支援するため、国連大学コンピューティングと社会研究所(UNU-CS)の主導で設置された研究グループは、ジェンダー間の技術格差の存在、原因および是正策に関する知識を創出し、民間企業や政府、規制機関、学界を含む主要なステークホルダーに対する、ジェンダー関連のデータ収集と共有の促進について研究する専門家から構成されています。

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    本件に関するお問い合わせ先:

    • United Nations University, Head of Communications, Hillary McBride (mcbride@unu.edu)
    • EQUALS Partnership, Communications Focal Point, Therese Littleton (littleton@itu.int)

    報道関係者の皆様
    発表式への出席または報告書の著者や研究グループ・メンバーへの取材をご希望の方は、equals@itu.intまでお問い合わせください。