新型コロナウイルスによって開発途上国の5億人が貧困にー世界の貧困削減の成果が10年後退

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  • 2020年4月14日     ヘルシンキ

    国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)は4月8日に新たな研究報告書を発表し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)により、世界人口の8%に相当する5億人が貧困に陥るおそれがあると警鐘を鳴らしました。これにより、1990年以来初めて、30年ぶりに貧困が世界規模で増大することになります。

    研究報告書の著者であるキングス・カレッジ・ロンドンアンディ・サムナー、エドゥアルド・オルティスの両氏と、オーストラリア国立大学のクリス・ホイ氏によると、これだけの規模の後退が生じた場合、この10年で達成された貧困削減の進歩を棒に振ることになります。

    UNU-WIDERのクナル・セン所長は次のように述べています。「この報告書は、国連の2030アジェンダ、特に持続可能な開発目標(SDGs)の貧困と飢餓をなくすという目標が、大きな脅威にさらされていることを示しています。グローバル・サウスの最貧層の人々の生活と生命を守るために、開発機関や各国政府、市民社会、民間セクターを早急に結集させ、世界的に取り組む必要があります」

    世界銀行と国際通貨基金(IMF)の会合、および主要20カ国・地域(G20)の財務大臣による会議を控える中、この研究成果は、世界中の脆弱なコミュニティに対する関心を高めています。国際非営利組織オックスファムは本報告書を引用し、「貧しい国々と貧しいコミュニティの破綻を防ぐため、全ての人のための経済救済計画(Economic Rescue Plan for All)」を実施するよう、世界のリーダーたちに呼びかけました。

    オックスファムは世界のリーダーに対し、2.5兆ドルの緊急援助パッケージに合意することを求め、1兆ドル規模の債務の即時取り消しまたは延期、1兆ドルのIMF特別引出権(国際準備資産)の積み増し、そして5,000億ドルの追加援助というかたちで使われる必要があるとしています。

    UNU-WIDERによるこの研究報告書は、1人当たりの消費が20%減少するというシナリオに基づき、世界の貧困層が4億人から6億人増大すると見ています。さらに、消費の縮小が10%または5%と比較的緩やかだった場合のシナリオでも貧困の増大を推計し、世界規模だけでなく地域別の影響も明らかにしています。

    キングス・カレッジ・ロンドンの国際開発学教授でありUNU-WIDERの客員シニア・リサーチ・フェローを務めるアンディ・サムナー氏は、この研究について次のように語っています。

    「COVID-19から派生する、開発途上国に押し寄せかねない貧困という津波の大きさに驚いています。私たちの研究結果によって、開発途上国における社会的セーフティネットをできるだけ早く、劇的に拡大する必要があるとわかり、さらに広い意味で、COVID-19が開発途上国に与える影響と、それに対して国際社会が提供できる援助に関してこれまで以上に目を向ける重要性を示しています」

    研究報告書全文はこちら

    アンディ・サムナー氏による解説記事はこちら

     

    取材に関するお問い合わせ

    英語: 国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)
    ティモシー・シップ shipp@wider.unu.edu

    日本語:国連大学 広報部
    伊藤 ito@unu.edu

    国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)について

    国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)は、1985年にヘルシンキで設立された、国連大学初の研究・研修センターです。世界の最も貧しい人々の生活状態に影響を与える構造的変動について、学際的な研究と政策分析を行っています。UNU-WIDERの活動には、同研究所の創設者の一人であるアマルティア・セン氏をはじめ、複数のノーベル賞受賞者が関与しています。