2023年4月18日 ニューヨーク
本日公表された新たな報告書は、多国間システムを強化するための野心的な計画を打ち出しました。目的は、気候危機、拡大する不平等、持続可能な開発のためのファイナンス不足、そしてますます増える民主主義や安定への脅威など、現在と将来の課題に対応できるようにするため、多国間システムの強化を行うことです。
報告書『A Breakthrough for People and Planet: Effective and Inclusive Global Governance for Today and the Future（人々と地球のための新機軸：今と未来のための効果的で包摂的なグローバル・ガバナンス（仮訳））』は、国連大学政策研究センター（UNU-CPR）の支援を得て、独立機関である効果的な多国間主義に関するハイレベル諮問会議（HLAB）によって作成されました。同報告書は、平和、安全保障、そしてファイナンスに関するグローバル・システムを強化し、気候とデジタル化における公正な移行を実現し、世界の意思決定をより公正かつ公平にするための包括的で詳細な提案を記しています。また、同報告書は、再活性化した多国間システムの中心に、ジェンダー平等を据えなければならないと主張し、さらに、よりネットワークが強化され、包摂的で効果的な多国間システムを実現するための提言もまとめています。
報告書『A Breakthrough for People and Planet』では、6つの革新的な転換を提案します：
HLABのメンバーは2022年3月にアントニオ・グテーレス国連事務総長により任命され、12名の第一人者から成ります。エレン・ジョンソン・サーリーフ元リベリア共和国大統領とステファン・ロベーン元スウェーデン首相が同諮問会議の共同議長を務めました。UNU-CPRは、HLABの事務局を務めています。
報告書で掲げる提言は、世界中から公に意見を募り、また、国連加盟国、市民社会、学界、民間セクター、国連システムのさまざまな機関など、多様なステークホルダーから幅広く知見を得て形成されました。報告書の発表に際し、サーリーフ元大統領は次のように述べました。
「報告書『A Breakthrough for People and Planet』は、グローバル課題への対応に献身する何百ものネットワーク、組織、市民社会団体との1年間に及ぶ取り組みの成果です。彼らが共有した解決策は、今と将来の世代が現在の軌道の先に待つ壊滅的な結果を避け、人間にとっても地球にとってもより持続可能で公正で平和な世界を実現するための手助けとなるでしょう。私はこの活動を通じ、効果的な多国間主義に関するハイレベル諮問会議に共有された多くのアイデアやイノベーションに感銘を受けました。本報告書が、現在そして将来世代のために、国際協力を強化する際に必要な枠組みを、国連とその加盟国、その他の関係者に提供してくれると確信しています。」
ステファン・ロベーン元首相も報告書の発表に際し次のようにコメントしました。「多国間主義が機能する余地はありますが、もっとうまく、速く機能しなければなりません。人間を中心に据えた我々の政策提言は、国際協力を強化し、持続可能な開発目標（SDGs）とパリ協定の実施の加速化を支援することを目的としています。」
ロベーン元首相はまた、次のようにも述べました。「ますます増大する我々の集団安全保障への複数の課題への対応において、今日の地政学的緊張関係が妨げとなってはなりません。新興そして将来のリスクを理解し、よりうまく供える必要があります。国際関係においては、透明性と信頼を構築していかなければなりません。HLABによる本報告書は、国連安全保障理事会の改革への努力を一新することや、国連の平和構築制度を強化すること、国連と地域機関との関係を拡大することを呼びかけています。」
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ガバナンスの改善が最も必要とされる重要な国際課題に関して国連加盟国に助言し、そうした改善を実現するための選択肢を提案することをHLABに託しました。報告書『A Breakthrough for People and Planet』はHLABの過去12カ月にわたる活動の成果です。2024年には、より効果的な国際協力の基礎を築く方途を国連加盟国が検討する「未来のサミット」が開催されますが、同サミットに向けての国連の議論に本報告書が貢献します。
報告書『A Breakthrough for People and Planet: Effective and Inclusive Global Governance for Today and the Future』はこちらからご覧ください：highleveladvisoryboard.org/breakthrough