Sustainable Development Goal 1

貧困をなくそう

世界では2000年以来、極度の貧困の削減について目覚ましい進歩が見られましたが、依然として7億人余りが国際貧困ラインの1日1.9ドル未満で生活しています。2030年までに世界中の貧困に終止符を打つには、所得格差を埋める努力だけに止まらず、さらに踏み込んだ多くの取り組みが必要です。

国連大学は、斬新な研究視点を用いながら、貧困をなくす継続的な取り組みを阻む要素を洗い出し、それらを克服する支援に取り組んでいます。例えば、移住に関する研究では、ある世帯が移住した場合、元の居住地と移住先の両方において、貧困から抜け出すために必要とする社会経済的な要素や、その結果について検証しています。また、経済分析ツールを開発するなど、数々のユニークな研究によって貧困を撲滅する包括的アプローチを確立しています。

A Climate Migrant's Story, from an Urban Slum in Dhaka
UN Photo / Kibae Park

研究者からのメッセージ

Pia Rattenhuber

ピア・ラッテンフーバー

国連大学 世界開発経済研究所(UNU-WIDER)
リサーチ・フェロー

「税金と社会保障政策が人々の生活にどう影響しているのかを理解するのは、持続可能な開発目標の達成において極めて重要です。開発途上国のパートナーと共に、貧困と不平等をなくすためにどのような政策がより効果的に機能するのか、シミュレーションモデルを考案しています」

マイケル・ダンクア

国連大学 世界開発経済研究所 (UNU-WIDER)
リサーチ・フェロー

「包摂的で持続可能な成長には、開発途上国における生産性の向上が不可欠です。労働者が生産性の低い活動から高い活動へと移行するのを促すのは何か、またそれを妨げるのは何か、こうした移行を政策面からより効果的に支えるにはどうすればよいのかについて理解を深めるための研究を進めています」

Iván Galindo Castro

イヴァン・ガリンド・カストロ

国連大学 中南米バイオ技術プログラム
(UNU-BIOLAC)
アソシエイト・サイエンティスト

「私は、教育こそ貧困の連鎖を断ち切るために最も重要だと信じています。ラテンアメリカとカリブ海のすべての国々の研究者に、バイオテクノロジーに関する平等な教育機会を提供するのが私の役目です。この取り組みが、持続可能な開発を支える革新的・技術的なブレイクスルーの可能性へと繋がるのです」

注目のプロジェクト

森林で暮らすコミュニティに対する社会的保護

国連食糧農業機関(FAO)と連携して取り組んでいるこのプロジェクトでは、森林に依存するコミュニティの脆弱性に関するエビデンスや知識を提供しています。様々な研究アプローチを用い、森林に関する政策と一貫する形でコミュニティの社会的保護の範囲も拡大すべく取り組んでいます。

開発のための租税政策と給付政策シミュレーション

税金と家計所得および不均衡性の理解は、貧困対策と経済成長促進の鍵となります。このプロジェクトでは、開発途上国の政策立案者が、租税政策または給付政策の変更に際し、国民の生活への影響を検証できるようシミュレーションモデルを構築しています。

開発途上国における国内貯蓄の不足

このプロジェクトでは、包摂的な開発と貧困の削減において国内貯蓄が果たす役割を検証しています。この分野における重要な政策関連課題に取り組むため、世界的な研究結果に加え、各国の経験の体系的比較を提供しています。

関連の記事

最新の出版物