グローバル化の進む21世紀の国際社会では、国家、地域、さらには地球規模で頻発する次のような現象が際立って多くみられるようになってきました。ひとつには、途上国か先進国かに関わらず起こる地震、津波、ハリケーンや洪水といった大規模な自然災害です。日本も、1995年の阪神・淡路大震災の後に 2011年の東日本大震災を経験しました。また、内戦やテロ、組織犯罪もここ数十年の間に増加しています。とりわけ紛争は、時として自然災害とあいまって複合的な被害を及ぼし、無秩序や無政府の緊急事態を引き起こすため、国連などでは複合的人道危機とも呼ばれるようになっています。さらに、 HIV/AIDSやマラリアなどの疾病、または貧困や環境破壊などが起こるような、深刻な地球規模の脅威となっています。
こうしたさまざまな要因によって被害を受けるのは、そこに生まれ、生きる大勢の人々です。21世紀に入ってから、スマトラやハイチ、中国や日本など、世界各地の大規模自然災害に対して、また、ソマリアなど紛争地での複合的人道危機に対して、国連やNGOをはじめとするさまざまな関係者による支援が続けられてきました。
国連大学グローバル・セミナー第28回湘南セッションでは、自然災害、武力紛争のさなかやその後の混沌とした状況のもとで、人々を災害と脅威から救い出し、その命を助け、人々と被災地を復興から新生へと助けるグローバルな人道支援について考察します。
本セミナーでは、21世紀における地球社会の人道支援を、その規範性、担い手と受け手、人道危機の実態と支援の実際の取り組みの観点から見つめます。ウェストファリア体制で成立した主権国家という基本枠組だけでは安全を保障しきれなくなっている現代の地球社会において、国家と人間に起こっている安全と安心の多様化と、それらを守るための人道支援の意義と課題について学際的に考察します。セミナー参加者は、地球社会のなかに自己を相対化して、人道支援への衝動が国益や政治の論理を超える普遍的規範となりうるものかどうかについて、深く問うことになります。
プログラムの詳細、また参加申込方法につきましては、UNU-ISPのウェブサイトをご覧ください。
湘南国際村センター
〒240-0198 神奈川県三浦郡葉山町上山口1560-39