国連大学は、国連大学創設40周年を記念するイベントの一環として、特別パネル対談「Responsibility to Protect: Ten Years On(保護する責任:10年の歩み)」を開催いたします。
10年前、2005年世界首脳会合において「保護する責任(R2P)」の概念が認められ、国家当局に自らその責任を果たす能力または意志がない場合には、国際社会が残虐な犯罪から人々を守るために集団行動を講じる責任を負うということが確認されました。当時この概念は規範的な大転換としてもてはやされたものの、過去10年間におけるR2Pの進展はまちまちで、それぞれの状況において「ケースバイケース」で検討することが世界首脳会合で強調されたため、R2Pの適用はどうしても選択的なものとならざるを得ませんでした。
R2Pの概念によって、国連平和維持軍はコンゴ民主共和国や南スーダンにおける一般市民の保護により確固たる姿勢で臨むことができ、コートジボワールでは選挙結果の反映にたずさわり、NATOのリビア介入を承認しました。その一方で国連は、ダルフールの大量虐殺に対する対応の遅れや、スリランカで大量の民間人が犠牲になったにもかかわらず行動を起こさなかったこと、またシリア内戦の泥沼化を防げなかったことについて厳しい批判を受けています。これに対してR2Pの推進者たちは、こうした不備の原因が、リビア介入をめぐる論争、安保理における東西分裂の深刻化、米国の緊縮(政策)、ならびにR2Pは西側諸国の干渉主義の隠れ蓑ではないかという考えが根強く残るグローバル・サウスの主権意識の強さにあるとしています。
このような状況を背景として国連大学は、保護する責任に関する第一人者の皆さんをお迎えしてパネルディスカッションを開催し、デイビッド・マローン国連大学学長と共に、R2Pの成果、弱点、および今後の展望について話し合っていただきます。このパネルセッションには、「干渉と国家主権に関する国際委員会」のメンバーとしてR2P誕生の立役者となったラメシュ・タクール元国連大学上級副学長が参加します。同委員会は、重要な2001年の「保護する責任」報告書で、初めてR2Pの概念を構築しました。
他にも、英国リーズ大学国際関係学講師のクリスティーナ・ステファン博士や、インドのデリー政策グループ局長のラダ・クマール博士がパネリストとして参加します。
本イベントは、日本語と英語の同時通訳があります。
本イベントは19:30に終了し、その後19:30から20:30まで1時間のレセプションとビュッフェを予定しております。国連大学対談シリーズは、ご参加の皆さまとの交流の促進を目的としています。すべての参加者は、対談中、また対談後のレセプションにおいて、講演者 に直接質問することができます。また、対談後に提供される飲みものとビュッフェ形式の軽食をとりながら、意見交換や新たな人脈作りの機会としてお役立てください。
ご参加には事前登録が必要です(6月7日締め切り)。
参加のご登録は、左上のご登録ボタンからお願いいたします。
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国連大学 ウ・タント国際会議場