2016年8月24日
世界リスク報告書2016年版
世界171カ国で起こりうる異常な自然現象は、社会にどのような影響を及ぼすか
ベルリン、2016年8月25日――社会インフラが十分に整備されておらず物流に何らかの問題があると、異常な自然現象が発生した時に大きな災害へ繋がる危険性が格段に高まることが分かりました。これは、今回の世界リスク報告書2016年版の主要な調査結果であり、本日ベルリンにて、シュトゥットガルト大学の協力のもと、Bündnis Entwicklung Hilft (公式名称Gemeinsam für Menschen in Not e.V.)と国連大学環境・人間の安全保障研究所(the Institute for Environment and Human Security at the United Nations University)により発表されました。
「異常な自然現象発生後に支援活動を行う段階になると、ほとんどの障害は物流の『最終局面』に現れます。すなわち、道路や橋が崩壊し補給ルートが寸断される中でいかに輸送経路を確保するか、水や食料やシェルターといった物資が不足する中でいかに公平な分配を図るかということです」。こう語るのは、世界リスク報告書のプロジェクト・マネージャーであり、Bündnis Entwicklung Hilftのマネージング・ディレクターを務めるペーター・ムッケ氏です。「輸送ルートが寸断され、電力供給網は安定せず、建物も崩壊したとなれば、海外からの人道的支援が妨げられるのはもちろん、災害で被害を受けた人々への命に関わる支援が遅れることになります」
「災害発生前から、重要インフラの確立と整備に国際社会はより投資すべきです」。世界リスク報告書の科学ディレクターであり、国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)の上級科学者でもあるマティアス・ガルシャーゲン博士は言います。「インフラが質量ともに十分整い、制度に従ってきちんと管理されていれば、洪水や嵐といった自然の脅威がもたらす壊滅的な被害を軽減できるだけでなく、災害発生時の人道的支援物資の供給に重要な役割を果たすこともできます。つまり重要インフラは、その地域住民に対する自然災害のリスクを軽減し、経済的損失を抑えることができるのです」
Bündnis 傘下のChristoffel-Blindenmission(CBM)のプログラム・ディレクター、イリス・メン博士は、現地で組織される人道支援活動の重要性が増していることを強調します。「 たとえば市民団体や教会組織など現場で救援活動を行う当事者は、その地域や文化的背景を熟知していることが多く、最も支援を必要としている人々を知っています。災害時にまず行動を起こすことができ、国際救援団体が去った後も引き続き活動できるのは彼らなのです」
この世界リスク報告書の重要な柱の1つが、シュトゥットガルト大学の空間及び地域計画研究所(the Institute of Spatial and Reginal Planning: IREUS)によって算出された世界リスク指標(WRI)です。対象となる171か国の自然災害と社会的脆弱性を分析し、それぞれの国における災害リスクを評価した数値です。2016年版で最も高い数値を示したのは、今回もバヌアツ共和国でした。ドイツは147位です。「自然災害が大惨事につながるかどうかは、 栄養状態、医療サービス、ガバナンスなど の社会的要因によっておおかた決定づけられます」。IREUSの上級科学者であるトルステン・ヴェレ博士は言います。「けれども、対象を絞って介入することで災害の影響を軽減できますし、弱点を認識することで重要な教訓を得ることができます」
報道関係者の皆様へ
・世界リスク報告書は、こちらからダウンロード可能です。
・ほかに印刷可能な画像、インフォグラフィックス、地図などが必要な場合はご連絡ください。
・ 今回の世界リスク報告書2016年版および旧年度の報告書の印刷版をお送りすることができます。presse@entwicklung-hilft.de宛てにEメールにてお申しつけください。
・本報告書執筆者に対する電話や対面インタビューをお受け致します。
報道問い合わせ先
United Nations University Institute for Environment and Human Security – Press Office
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Tel: + 49 (0) 228 / 815 – 0219
E-mail: kandel@vie.unu.edu
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Tel.: +49 (0) 30 / 27877 – 393
E-mail: presse@entwicklung-hilft.de
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E-mail:hkom@hkom.uni-stuttgart.de
Bread for the World, Christoffel-Blindenmission, Kindernothilfe, medico international, Misereor, terre des hommes, Welthungerhilfe 及び関連団体であるDeutsche Lepra- und Tuberkulosehilfe, German Doctors and Plan International は、Bündnis Entwicklung Hilftとして、被災地域ならびに災害の危機に直面している地域への短期及び長期支援を行っています。
国連大学環境・人間の安全保障研究所(the Institute for Environment and Human Security at the United Nations University:UNU-EHS)は、人間の安全保障におけるリスク及び脆弱性、ならびに複雑な自然災害や地球規模の災害の影響について研究を行っています。
シュトゥットガルト大学空間及び地域計画研究所(the Institute of Spatial and Reginal Planning: IREUS)は、災害リスク低減の促進や、空間及びインフラ整備における耐久性ならびに持続可能性の強化のため、研究及び教育計画を実施しています。